日本コミュニケーション障害学会について
● 理事長挨拶
日本コミュニケーション障害学会理事長就任のご挨拶
吉畑 博代
これまで,本学会の編集委員会や学術講演会開催委員会を担当してまいりましたが,2018年度から3年間,理事長職を務めることになりました。常任理事や理事,会員の皆様方と一致団結して,本学会の発展のために努力してまいりたいと思います。
本学会の目的は,会則第3条に記されているように「コミュニケーションおよびその障害の臨床・研究に関心をもつものが,相互の交流・研鑽により,それらに関する学問の発展に寄与すること」です。この目的を果たすために,さまざまな活動を行っております。主な活動内容や特徴として,次の3つを紹介させていただきます。1つ目は,本学会の名称を2002年に「日本聴能言語学会」から「日本コミュニケーション障害学会」に変更したことです。人の生活の基盤をなすコミュニケーションを学会名の中核に置いた本学会としては,これからも複雑で流動的かつ奥深いコミュニケーションの視点を大切に,研究や実践を積み重ねていきたいと思います。2つ目は,2004年に創設された分科会制度で,現在5つの分科会が活動しています。各分科会では,情報交換の場として学術講演会時にワークショップを行ったり,別途セミナーや研修会などを開催しています。分科会の活動内容にご興味がおありの方は,分科会の構成員になっていただきたいと思いますし,コミュニケーション障害児者のニーズに合わせて,ぜひ新しい分科会を立ち上げていただくことを期待します。3つ目の特徴は,医療・教育・心理・福祉などの多岐にわたる職種の人が,会員になっていることです。年1回集う学術講演会では,さまざまな立場で多様な考えをもつ方々と,情報交換を行い活発な議論が交わされています。今後も,臨床や研究に役立つ情報を得ることができる場にしていきたいと考えております。
また本学会では,時代とともに変化する概念や価値観を押えながら,活動していきたいと思います。たとえばリハビリテーションの領域では,ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health, WHO, 2001)に基づいて「参加制約」を改善させるという,家族や地域社会までを含めた包括的な概念が唱えられるようになりました。情報へのアクセスはインターネットなどのICT(Information and Communication Technology)利用が不可欠になりました。しかしより良い「参加」を目指すためには,ICT利用一つをとっても様々なアプローチが必要です。会員の方には,「参加」向上のための工夫や支援の効果をエビデンスとして発表し,データが蓄積できるよう,学会誌に論文を投稿していただきたいと思います。多様な職種の人が会員となって参加している本学会の果たすべき役割は大きいと思います。
皆様とともに,その時々のニーズを把握しながら,この領域の更なる発展を目指して,幅広い学会活動を展開していきたいと考えております。引き続きご協力くださいますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。
(2018年6月)